干場 康博
/ HOSHIBA Yasuhiro

気候、気象、海洋研究において、現場観測・人工衛星を初めとする観測研究と、コンピューターシミュレーション研究は現代において科学研究の両輪であると言えます。近日の天気予報から海洋漁場予測、将来の気候変動予測に至るまでこの両輪は必須です。私は主にコンピューターシミュレーション研究を担っています。眞鍋 淑郞先生が気候モデル研究でノーベル物理学賞を受賞されたのは、みなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。

プロフィール

東京大学大気海洋研究所(AORI:Atmosphere and Ocean Research Institute)で特任研究員として研究・発信を行っています。専門は海洋の数値モデリングやコンピューターシミュレーションです。気象予報士としての知識も活かし、気候モデル開発にも参画しています。

主な活動

  • 数値シミュレーション研究
  • 海洋モデルの開発
  • 研究プレスリリース
  • 中高生理系進路選択支援イベント

経歴

2015年4月 – 現在 東京大学 大気海洋研究所 特任研究員
2014年1月 – 2015年3月 北海道大学 地球環境科学研究院 博士研究員
2013年12月

北海道大学大学院環境科学院地球圏科学専攻修了 

博士(環境科学) 

これまでの活動内容

中高生の進路選択の支援イベントや、研究のプレスリリースを通して科学の楽しさを広めています。

進路選択支援イベント

東京大学柏キャンパス一般公開に合わせ、「体験しよう!海で学ぶ・海で働く!」と銘打って中高生向けの進路選択イベントを開催しました。参加者には表計算ソフトを使って海洋の物理シミュレーションを体験してもらいました。水深、地球の自転や重力のパラメーターを変えることで、流れのシミュレーションに大いに影響を与えることを学びました。

研究プレスリリース例

洪水時に河川から大量流出する土砂が沿岸域の流れ・栄養塩環境を変える

陸から河川を通して海に運ばれる淡水、懸濁物や栄養塩は、沿岸の生物生産に大きく寄与しています。特に、洪水時は上記の物質が大量に海に供給されるだけでなく、沿岸海域が河川流出水によって大きくかき混ぜられることで、大量の栄養塩が表層に供給されます。そのかき混ざり方、かき混ぜの強さは低塩分の河川水と、高塩分の海水の密度差によって決まります。それら水塊同士の密度差に、泥などの懸濁物も影響を与えます。洪水時は大量の懸濁物が河川から流出し、流れを大きく変えることがあります(懸濁物―物理相互作用:図1)。しかしながら、懸濁物―物理相互作用が沿岸域の物質循環にまで与える影響は詳しくわかっていませんでした。東京大学大気海洋研究所の干場康博特任研究員らのグループは、海洋物理―懸濁物―低次生態系結合数値シミュレーションにより、沿岸表層の塩分や栄養塩濃度が懸濁物―物理相互作用によって大きく変わりうる可能性を指摘しました。本研究は、海における河川の役割について新たな知見を与えるものであり、洪水時に生じる物理・物質循環諸現象の理解にも貢献する成果です。

図1:大量の河川流出土砂懸濁物が、周囲の水の密度と流れに影響を及ぼす(懸濁物―物理相互作用)概念図。(a)大量の懸濁物を含む河川水が、海水よりも重くなって海底まで沈み込むハイパーピクナルモード。(b)河川水が表層に広がりやすくなるハイポピクナルモード。粒径が大きく、滞留時間の短い懸濁物が河口近傍のみ水の密度を大きくすることで、河口⇔沖合間の水塊密度差が小さくなり、それによって駆動されている鉛直的な循環を弱くする。結果として表層の水は鉛直的に孤立しやすくなる。

https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2021/20211104a.html