北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンターに設置されている、科学技術コミュニケーション教育研究部門 CoSTEP(Communication in Science & Technology Education & Research Program; コーステップ)で科学技術コミュニケータの養成プログラムを担当しています。主な担当は、グラフィカルな表現を用いて科学技術を伝えたり、多様な立場のステークホルダー同士の感情的理解を促すビジュアル表現を学ぶコースと、サイエンスライティングのコースです。
池田 貴子 / IKEDA Takako
自己紹介
都市部に生息するキタキツネの生態学と、彼らがヒトにうつす寄生虫「エキノコックス」の疫学を専門としています。近年では、札幌市内の都市公園と協働して、感染予防対策やキツネへの餌付け対策の実践、そして市民や行政の間のリスクコミュニケーションに取り組んでいます。地域対話や他者との相互理解のためのコミュニケーションを促進するために、グラフィカルな表現の可能性を模索しているところです。
三度のメシより動物が好きですが、食べ物ならばこの世で一番ジャガイモが好きです。
関連リンク https://researchmap.jp/takakoikeda
現在の活動
- 野生動物問題のリスクコミュニケーション
- 相互理解や感情的理解のためのサイエンスビジュアリゼーション
野生動物問題のリスクコミュニケーション
野生動物にまつわる問題は、人と動物との距離感が必要以上に近くなったときに起こります。特に都市部では、その距離感を最初に間違えるのは人側である場合が多いです。それは、餌付けのような意図的な行動の場合もありますし、うっかりゴミ捨ての方法を間違ったことで結果的に動物を呼び寄せてしまった場合、もしくは良かれと思ってした行動が後に予測不可能なバタフライ効果を生む場合もあります。
市民・行政・研究者が、一緒に課題解決やこの先の暮らしの在り方について自分事として考えられるようなコミュニケーションを模索しています。
相互理解や感情的理解のためのサイエンスビジュアリゼーション
社会で起きている問題に関わるステークホルダーは常に多様です。そして、そのステークホルダーの数だけ「言い分」や「当たり前」があります。対立する他人同士が理解しあうのはとても難しいことです。ですが、相手の立場や考えについて、理由や理屈ではなく感情的に理解することができれば、少しは互いの距離が縮まるかもしれません。
札幌市民を悩ませる都市ギツネにまつわる問題について、各ステークホルダー(地域住民、都市公園管理者、行政、野生動物研究者、コミュニケーターなど)が互いに歩み寄るフックを作るべく、グラフィカルな表現方法を用いたコミュニケーションを試みています。
関わり方
将来のサイエンスコミュニケーションの方向性
野生動物との共生をめざした獣害対策や管理の方法を、市民・行政と連携して考えていきたいと思っています。特にキツネについては、生態調査や獣害対策に関する共同研究のお誘いも歓迎です。