阿部 稜平
/ Ryohei ABE

千葉大学大学院 融合理工学府地球環境科学専攻 博士後期課程1年
千葉大学 全方位・挑戦的融合イノベーター博士人材養成プロジェクト(JST次世代研究者挑戦的研究プログラム)
修士(理学)|CoSTEP20期選科C(インフォグラフィック制作)修了

私は、氷河・氷床や山岳域の積雪が赤や緑色などに色づく「彩雪(さいせつ)現象」の研究を行っています。この現象は、雪氷藻類と呼ばれる光合成微生物が持つ多様な色素によって引き起こされます。雪は本来白色ですが、色が変化すると太陽光を吸収しやすくなり、氷河や氷床の融解が加速することが報告されています。しかし、この現象の原因となる微生物の分布や生態については、まだ十分に解明されていません。私は、この彩雪現象に対して、太陽光が当たり反射した光の波形を現場観測しています。この光の波形を解析することで微生物のもつ色素や群集構造を明らかにすることを目指しています。

自己紹介

スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)指定校である仙台第三高校在学中から、市民向けの出張科学実験を企画したり、地元仙台で盛んに開催されていたサイエンスカフェに参加したりと、発信する側・受け取る側の両方の立場で科学技術コミュニケーションに関わってきました。これらの経験を通じて、サイエンスそのものへの興味はもちろん、サイエンスを社会に発信することにも強い関心を持つようになりました。その後、大学では理学部に進学し、修士課程でも引き続き地球科学を専攻しました。現在は博士課程に在学しています。

これまでのサイエンスコミュニケーション

研究対象である雪氷微生物の展示と観察体験型ブースの出展など

  • 『雪の上の小さな生き物をのぞいてみよう(雪氷楽会 in 福島)』出展(2023年)
  • 『雪にいる生き物を探そう(雪氷楽会 in 長岡)』出展(2024年)

研究対象である雪氷微生物に関する研究紹介・アウトリーチなど

  • 宮城県仙台第三高等学校 令和5年度「三高探究の日(イノベーションフェスタ)」における発表(2023年)
  • 宮城県仙台第三高等学校 令和6年度「三高探究の日(イノベーションフェスタ)」における発表(2024年)

高校在学中の出展など

  • 『-195.8 °Cの世界を一緒に予想してみよう!(学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ 2015)』(2015年)
  • 『もち?こんにゃく?もちもち・のびーるスライム(科学で東北を盛り上げ隊!@石巻)』(2016年)

サイエンスコミュニケーションに活用できるスキル

  • フィールドワーク経験(極地・国内山岳域)
  • 図書館司書資格
  • 学芸員資格
  • 東京商工会議所 カラーコーディネーター検定試験 スタンダードクラス

将来のサイエンスコミュニケーションの方向性

理学部在学時に司書資格を取得したことで、図書館が科学技術に限らず、幅広い学術情報を社会に伝える重要な役割を担っており、科学技術コミュニケーションとも高い親和性があると感じました。
たとえば、貸し出し可能な冊子体資料の存在やブックリストの提供など、その場限りで終わらない継続的な取り組みができる点や、読書バリアフリーの考え方が広まりつつあることから、幅広い市民に対して効果的な科学技術コミュニケーションを実現できる場だと思います。
また、近年では図書館や書店などでサイエンスカフェが開催される例も増えています。

将来的には、図書館や書店などで冊子体を媒介とした科学技術コミュニケーション活動にも取り組んでみたいと考えています。

加えて、2024年度のCoSTEPのモジュール講義(モジュール6-2 学術バーQ 豆腐(山口 真幸)先生)を受講したことで、バーやカフェといった業態と科学技術コミュニケーションとの間に高い親和性が潜在していることをより強く実感しました。今後、こうした分野についてさらに検討を深めていきたいと考えています。