株式会社エアジーワークス
ディレクター
坂田 太郎さん
ディレクターとして長年ラジオに携わってきた中で感じた行き詰まり、もっと変わらない価値を求めてサイエンスコミュニケーションの世界に飛び込んだ。その中で見えてきたのは、一つのテーマを掘り下げて伝える新しいラジオの形だった。
知識のアップデートを求めてCoSTEPへ
小学校の放送部員から始まり、思春期、そして青年期には常に放送に携わってきました。大学の途中からラジオ局で働き始めたことがきっかけで、そのまま就職することになり、今はラジオ局のチーフディレクターです。ラジオ番組の企画作りから制作までに携わるものの、最近のラジオディレクターは依頼されれば、インタビューコンテンツを作ったり、外部イベントの演出も手掛けますよ。
ミュージックプログラムのディレクターとして経験を積んでいく中で、それをとったら何が残るだろう、って考え始めたんですよね。商業的なメディアで音楽番組を作っていくということは、常に知識のアップデートが必要です。ただそんなに新しい音楽を吸収することが自分の本当にやりたいことなのだろうか、そう考えている時に、CoSTEPの存在を知りました。
サイエンスコミュニケーションから見えてきた新しいメディアの形
ゆるぎないものって何だろう、と考えたとき、その一つがサイエンスなんじゃないかと思ったんですよ。自分が年をとっても、世の中が大きく変わっても、科学的な事実が覆ることはそうはない。だったらそこに立脚して自分の価値観を定めれば、どんな人ともコミュニケーションができるんじゃないだろうかって。
ただ一旦CoSTEPに入ると、科学だけじゃなくアートや報道の話も出てきたり、科学では割り切れないものも発見したり、僕の中でのリアルが変わっていきました。CoSTEPでは16期の受講生と、コロナ禍での新しい生活を考える「New Normal, New Life」というラジオ番組を作りました。最新の音楽を共有するのもいいけど、一つのテーマにじっくり掘り下げることで、メディアの可能性も広がるんじゃないかなと思い始めました。
コミュニティをつくるメディア
ンターネットの進歩によって、どんな人でもコンテンツを作成、発信できるようになりましたよね。だから、僕らラジオ局だけがコンテンツを特権的に発信できる時代は終わったと感じています。今、自前でやっているサイエンスをテーマにしたラジオ番組を無償でやり始めてます。自分は十万人のリスナーのために届ける番組を目指していないので商業ベースにのせるのは難しいかもしれない。
ただCoSTEPでやっているサイエンスコミュニケーションも決して大人数向けじゃないんですよ。そこから僕はヒントをえたんです。少ない人数に対して発信してコミュニティ作ると、そのコミュニティに参加した人それぞれがインフルエンサーになって活動していくじゃないですか。実は、放送のコンテンツも発信というだけじゃなく、コミュニティを作る、そういうツールになっていくんじゃないかと、今考えています。
理想のサイエンスコミュニケーターをお菓子にたとえると?
~おいしいサイエンスコミュニケーションのヒント~
何味か食べてみないとわからないLOOKチョコレート
中身が何か正確には分からない。それでもおいしいと信じて人に勧める。 受け取った人も中身が分からないと知った上で口に運ぶ。 未知と発見を楽しむ感性を持ってもらいたいですね。