北大CoSTEP大学院での学びをまちづくりのフィールド発揮したい

2022年6月29日

栗山町地域おこし協力隊
情報発信プランナー
望月 貴文さん

30代半ばで行政職員のキャリアに区切りをつけ、北海道大学公共政策大学院に進学。修了後はもう一度まちづくりの現場に立ちたいと栗山町地域おこし協力隊に応募した。北大CoSTEPで学んだ取材経験を活かし、町公式note「くりやまのおと」で情報を発信するかたわら「広報くりやま」とも連携し、町内外に横たわる心の距離を縮めていく。

 

 

まちづくりの現場で出会った人々が刺激に

ぼくの公務員としての初任地は北海道室蘭市。2008年に開催された北海道洞爺湖サミット関連の仕事が終わったあとは、地域の活動する現場を見てみたいと思い、市民有志が立ち上げた「室蘭ジャズクルーズ」をお手伝いしながら、まちづくりに関わっていきました。まちづくり活動をする人たちがご自分の本業を持ちながら、ともすれば行政職員以上の熱意でイベントに取り組む姿は今も心に焼きついていて、自分の“まちづくりの原点”はその方々。

その後異動を重ね、札幌の本庁勤務になりましたが、通い始めた北大CoSTEPやアートを通したまちづくりを学ぶThinkSchoolですそ野を広げる機会を求め、公務員という立場に縛られなくてもまちづくりをしている人たちがいることに刺激を受け、退職を決意しました。

CoSTEPでは北大祭と同時開催された低温科学研究所の一般公開を取材し、マイナス50度の世界を体感。CoSTEPの一年は自分の興味・関心を科学にも広げることができた期間だった。

 

リカレント教育の最前線から新たな視座を得られた

退職後は北海道大学公共政策大学院の学生に。10年近くの公務員キャリアでは得られない、新しい視座を得られた貴重な2年間になりました。修論のテーマは、次の就職先として関心を持っていた地域おこし協力隊について。東川町に焦点を絞り、地域おこし協力隊の支援体制について現状から仮説を立て課題を掘り下げていきました。

修論へ向けた姿勢は現在の活動に大きく活かされており、リカレント教育の必要性を、肌で感じることになりました。修論調査と並行して協力隊の募集情報を探していたところ、目に飛び込んできた自治体が現在いる栗山町です。まだ手つかずの農村地帯の可能性に惹かれて応募しました。情報発信プランナーとして2021年4月から赴任しています。

後ろの棚には同僚の協力隊が運営するものづくり工房「ファブラボ栗山β」で作った試作品が並ぶ。

 

noteと広報誌を連携して栗山町の“今”を発信

2021年7月から町の公式note「くりやまのおと」を立ち上げ、ヒト・コト・モノある焦点をあて栗山の「今」を発信しています。町の広報誌「広報くりやま」でも特集を組んだりして、デジタル・アナログの両方で連携を深めていく予定です。取材では8時間のロングインタビューにご協力いただいた農家さんもいらっしゃって、彼らの声をどう紡ぐか、CoSTEPや大学院で学んだことをフル稼働しています。

ぼくらがやっていることは、栗山に関わる皆さんの心の距離を縮めていくこと。科学技術コミュニケーションを学んだ身としては、今度はまちづくりという人文・社会科学のフィールドでその知恵や適切な手法を発揮していきたいです。

栗山町は里山教育が盛んであり、国蝶オオムラサキが町のシンボル。町営の「オオムラサキ館」では地域に生息する90種類の生物が観察でき、多くの子どもが訪れている(写真はオオムラサキの幼虫)。

理想のサイエンスコミュニケーターをお菓子にたとえると?
~おいしいサイエンスコミュニケーションのヒント~

話が弾む環境づくりの名脇役!「リッツ」

近年特に感じるのは、科学技術コミュニケーションの役割は“議論の分断”を避けることなんじゃないかということ。ある程度のレールを敷きつつ、会話ができる環境を作るもの…そう考えるとパーティーに大活躍のクラッカー「リッツ」。どんなテーマでも挟みこんでくれそうです。