アーティスト
岡 碧幸さん
北大農学部時代に北大CoSTEPを受講。イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで情報経験デザインを学び、2020年に帰国した現在はアーティストとして活動中。大きな関心は環境問題。「アートが主体的に科学や社会に関わっていくときの表現としての作品もまたコミュニケーションの一つ」と位置づけて、見る人に考える種を撒く。
アウトドアで育ち、大学で環境芸術を知る
キャンプ好きの両親の影響で小さい頃から遊び場といえば、アウトドア。山小屋に泊まったり沢登りをした思い出がいっぱいあって、物心がついた頃から生物や環境への関心は大きかったと思います。
北大農学部では生物機能化学科に進学し、他学部の学生とチームを作って「国際生体分子デザインコンペティション」に出場したこともいい思い出です。
高校時代からアートにも興味を持ち始め、大学でバイオアートやエンバイロメンタルアートの存在を知ってから徐々にアーティストという選択肢が自分の中に。環境や化学への関心も同時に満たしてくれるようなアート系の大学院を探して、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)にたどり着きました。
鑑賞者の「わかる」をどうデザインするか
留学について相談していた先生がCoSTEPに所属されていたこともあり、大学4年の秋から本科を受講しました。
私がRCAで選択しようとしていたコースは日本ではあまり聞き慣れない「情報経験デザイン」コースで、そもそも情報とはどういうものか、鑑賞者が「わかる」と思う経験をどうデザインしていくかを考える学びを提供していて、科学技術コミュニケーションと重なるところが非常に大きかったんです。データの伝え方や“真実”を扱う際の科学倫理など、留学前に基礎的なことを勉強できて大正解でした。特に実習では社会に向けて自分のアイデアや作品を発表するという一連の流れを体験できて、それが今もすごく役に立っています。
「ここ」と「どこか」をつなぐ引っかかりに
ある場所で風車を動かしたら、その動きを感知した遠くのパソコンに映る空の映像が切り替わる構造の作品《To handle (A)》(2021年)は、「どこか遠いところで起きている」と思われがちな環境問題を自分に引きつけて考えるきっかけを作れたら、という思いで制作しました。
アートも科学技術コミュニケーションも、ややもすると「社会とは関係がない活動」にくくられがちですが、絶対にそうじゃない。環境問題も科学技術も、社会もアートも等しく影響力を持っていて、見る人・学ぶ人に「あれはどういうことだったのかな?」という引っかかりを生み出すことができれば、そこから長いスパンでのコミュニケーションが始まるんじゃないかと感じています。
理想のサイエンスコミュニケーターをお菓子にたとえると?
~おいしいサイエンスコミュニケーションのヒント~
いつ食べてもいい、一人時間を彩る「瓶入りのアメ」
科学技術コミュニケーションそのもので考えて、