池原優斗
/ Yuto IKEHARA

北海道大学大学院文学院・文化人類学研究室修士課程在籍。CHAIN3期生。ITエンジニア。専門は文化人類学、科学技術の人類学、科学技術社会論(STS)、ELSI。「人間知・脳・AIの学際的研究における共創の人類学」をテーマに研究を行っている。また、人間がそれをある種の主体として経験することを誘発するような人工物である「人工主体」(AI、A-Life、ロボット等)と人間、社会についての研究も進めている。

自己紹介

異分野融合型の学際的研究において、他分野の研究者がどのように協力して知識を共創していくのかをテーマに研究しています。調査は北海道大学人間知×脳×AI研究教育センター(CHAIN)をフィールドとして、自らもCHAINのメンバーとなって文化人類学的フィールドワークを行っています。

私は学際的研究の現場では、実は「サイエンスコミュニケーション」が常に行われているのではないかと考えています。学際的研究の中で研究者は、その研究者の専門分野については非専門家である他の研究者に対して、自分の専門分野をうまく説明していく必要があります。つまり、学際的研究はサイエンスコミュニケーションの連続であるとも言えるでしょう。したがって、学際的研究における共創の研究は、学際的研究の中で起こっている専門家と非専門家の間のコミュニケーション、すなわち「サイエンスコミュニケーション」を研究しているのだということができると思います。

これまでのサイエンスコミュニケーション

「サイエンスコミュニケーション」に関連する活動は主に三つの活動を行っています。

まずは、学際的研究におけるコミュニケーションを対象の一つとした文化人類学的研究です。これについては、修士論文に向けて研究を進めています。

次に、CHAINにおけるランチセミナーを運営し、所属メンバーがお互いの分野、研究について理解するための場をつくっています。

最後に、これは少し間接的ですが、サイエンスコミュニケーションのための基礎として、どのように社会が科学技術と付き合っていくべきかを考えるための研究として、AI、A-Life、ロボット等の「人工主体」に関する研究を行っています。これはELSI(科学技術の倫理的・法的・社会的課題)の分野とも関連する研究と言えるでしょう。

サイエンスコミュニケーションに活用できるスキル

文化人類学的な質的研究の方法を用いて、様々な分野の人々がお互いの分野について理解する過程を調査することができます。

科学技術に対して、人間や社会はどのように向き合っていけば良いのかについて、調査することができます。

現役のITエンジニアであるため、デジタル技術に関連するテーマについて、実務家と研究者の両方の立場から調査、発表することができます。さらに、デジタル技術を活用した表現を用いたサイエンスコミュニケーションができます。

将来のサイエンスコミュニケーションの方向性

学際的研究において、どのようにすれば様々な分野の研究者がよりお互いの分野を理解して、異分野融合を進めていけるのかについて、研究と実践を行っていきます。

また、「人工主体」等の新しく生まれた科学技術に対してどう向き合っていけば良いのか、というサイエンスコミュニケーションのための基盤となるような研究を通して、サイエンスコミュニケーションに貢献していきます。