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演劇でサイエンスコミュニケーションを実装する種村剛さんおすすめ

〈広い意味で対話〉は「言語のやりとり」で遂行される相互行為です。「言語のやりとり」の方法としてすぐに思い浮かぶのは、口や喉や舌などの身体の発声器官を用いて言葉を発音することで行われる発話です。しかしながら「言葉のやりとり」には、手話など発声器官以外の身体動作や、チャットなど文字入力による「言語のやりとり」も考えられます。厳密に対話の「技法」について考えるのならば、発話以外の「言語のやりとり」技法も射程に入れる必要があります。しかし、今回は前者の発話を用いた相互行為を扱って進めます。 「言語のやりとり」は、何らかの目的を持って行われる場合と、それ自体が目的となっている場合の二つを考えることができます。例えば、合意形成や信頼醸成の「ために」行われる「言語のやりとり」は前者、挨拶や日常会話における雑談などは後者にあてはまります。後者と区別された、何らかの目的を持った「言語のやりとり」を〈対話〉として位置づけることが一般的です。 対話を、何らかの目的を持った発話で担われる相互行為とすると「対話技法」には二つの視点があることがわかります。一つは、目的達成に資する「対話技法」に注目する視点です。例えば、合意形成という目的を達成するために適切な対話の場をデザインする技法や、そのためのファシリテーションの技法などを挙げることができます。もう一つは、「言語のやりとり」に直接関連するような「対話技法」に視点を置く立場です。例えば、論理的に発話を展開するための技法、相手にわかりやすく伝える技法、傾聴の技法などを挙げることができます。この二つの視点は、同一の事柄に対する異なる解像度の違いとしてイメージした方が生産的でしょう。前者がなくては後者はうまく機能せず、また、後者がうまくできなければ目的を達成することはできないからです。そのため「対話技法」の二つの視点を場面に応じて往還できることは、重要な「対話技法」といえるでしょう。

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